切迫早産
切迫早産
妊娠22週以降37週未満の時期に規則的な子宮収縮と頸管熟化がみられ、早産の危険が高い状態をいいます。原因の大半が絨毛膜羊膜炎(CAM)です。
症状
切迫早産の症状として、子宮収縮感(お腹が張る感じ)、下腹部痛、性器出血などがあります。破水が先行する場合もあります。また、感染が背景にある場合には発熱を伴うこともあります。
検査・診断
上記のような症状がある場合には内診を行い、子宮頸管の状態を確認します。子宮頚管長が短くなっていないか、子宮口が開大していないか、子宮頸管が軟らかくなってきていないか、児が下降してきていないかなどを評価します。合わせて胎児心拍数陣痛図を用いて子宮収縮の頻度や持続時間をみることで、早産のリスクがどの程度差し迫ったものであるかを評価します。
<頚管長と早産の関係>
妊娠24週未満で頚管長が30mm以下であれば要注意(切迫早産の徴候)であり、25mmより短ければ標準的な頚管長に比べ6倍以上早産になりやすくなります。
一般的に頚管長が25mm未満となった場合は入院管理となります。
一般的に頚管長が25mm未満となった場合は入院管理となります。
治療
日本における早産率は5.7%程度で、ここ20年近くほぼ一定です。
(1)子宮収縮抑制
子宮収縮抑制剤の使い方には日本と欧米とで大きな違いがあり、日本では使用頻度が高く、長期間にわたって使用される傾向にあります。おおむね欧米における臨床研究の結果として、子宮収縮抑制剤の治療効果は限定的とされていて、欧米では48時間以内に限った使用が推奨されています。しかし、長期投与を選択肢としている日本において早産率が低いことも事実であり、実臨床において、子宮収縮抑制剤が妊娠期間の延長に寄与したと感じられる症例もあることから、現時点では、長期投与を行う施設が多くなっています。
(2)抗菌薬
細菌が増えるのを抑えたり、細菌を壊したりする薬です。検査により細菌感染が認められる場合に検討されます。
(3)プロゲステロン(黄体ホルモン剤)による早産予防
プロゲステロンは、妊娠維持に重要なホルモンであり、近年早産予防治療薬として見直されています。
(4)ステロイド薬
早産の危険性がある女性は、赤ちゃんが出生後に呼吸困難になることを防ぐために、コルチコステロイドの投与をすることがあります。コルチコステロイドは、出生前に赤ちゃんの肺が成熟するのを助ける抗炎症薬です。
(5)治療的子宮頸管縫縮術
子宮頸管を糸で縫縮する手術です。全ての患者に対してこの手術が早産予防効果を発揮するわけではありませんが、過去に早産の既往があって、今回の妊娠で妊娠24週未満に頸管長が25mm未満となった場合には、この手術を行うことで、早産リスクを下げることが期待されます。
(6)安静
切迫早産の状態にある妊婦が過度に動き回ることはすすめられません。仕事や運動は避けた方がよいでしょう。